(図解)テレビ・アンテナの仕組み

この記事の内容は2003年以前に作成しました。

はじめに

このページでは放送局で映像が作られてから家庭に届く過程を、それぞれの仕組みを交えながら紹介します。
(ブラウン管のテレビを例に説明しています)

放送局から電波を送信するまで

映像(電気信号)の作成

放送局の仕組み

放送局のテレビカメラで撮影された映像は、プリズムをとおしてR(赤)・G(緑)・B(青)に分解され、CCDによって電気信号に置き換えられます。

電波を送信する

電波送信の仕組み

このままの電気信号ではとても弱いので、家庭に届けられません。
そのため、変調という処理で高周波の搬送波にのせて発信されます。
その後高い所(テレビ塔や東京タワーなど)に設置された送信アンテナから電波として空中に発射されます。

︙人気・おすすめメニュー

アンテナで電波を受信

電波の送信~アンテナによる共振

電波の伝わり方

ご覧のとおり電波は波ですが、アンテナの周りにはラジオ・携帯電話など様々な電波が飛び交っています。
その中でも特定の周波数に共振して、大きな電流を誘起できるものがそれぞれのアンテナとなります。

共振・共鳴の実験

アコースティックピアノをお持ちの方は、是非お試しください。
電波や音波には周波数が一致するものや、倍の周波数、3倍の周波数に反応して共に振動する性質があります。

→まずピアノの中央付近の「ド」の鍵盤を音が出ないように押し下げてください。
→次に先ほどの鍵盤を押さえたまま、その1オクターブ上の「ド」の鍵盤を、こんどは短く打鍵して見てください。
後から叩いた鍵盤から手が離れた後に、かすかに音が鳴っているのが確認できましたらそれが共鳴現象です。

この音は、最初に音を出さないように押さえた鍵盤の弦が振動している音です。
最初に押さえた鍵盤の弦の振動数は523.251Hz、後から叩いた鍵盤の弦の振動数は1046.502Hz、ピアノの弦は弦の全長でもっとも強く振動しますが、さらに全長の1/2、1/3……そして無限に小さい部分で複雑な振動をしています。
そのため基本振動以外に整数倍の振動数を持つ弦が、2倍の振動数(弦の長さが半分)に共鳴したのです。

アンテナを選ぶ

アンテナの仕組み

テレビのアンテナであれば、受信したいチャンネルの波長の半分に短縮率0.95をかけた長さが、そのチャンネルのアンテナになります。(理論的な数値より短めの方がより良く共振するそうです。)

ただしチャンネルごとにアンテナを用意し、屋根の上がアンテナだらけにならないよう、通常は「FMからVHFLOW(1~3ch)」「VHFLOW(1~3ch)~VHFHI(4~12ch)」などのアンテナが使われています。
その他1・2・3ch専用アンテナなどもあり、この場合のアンテナの長さは1~3chまでの周波数帯域の、ちょうど中間程度の長さになっています。

受信アンテナによって捉えられた電波は、同軸ケーブルをとおって各部屋のテレビへ送られます。

選局から映像出力まで

テレビによる画像再生1-電子銃

テレビの仕組み

アンテナには複数のチャンネルの電波によって、電流が発生しています。この中から特定の周波数をチューナーで選び出し、音声検波、映像検波によって搬送波と電気信号に再び分解されます。

ここから音声信号は増幅されてスピーカーへ、輝度信号はマトリクス回路へ、色差信号はそれぞれに分かれてマトリクス回路へ、同期信号は同期回路から垂直偏向・水平偏向に分解され偏向ヨークへと進みます。

このマトリクス回路で生成された映像信号が、電子銃によってブラウン管後部からブラウン管前面に向かって発射され、偏向ヨーク(電磁コイル)によって曲げられます。

ブラウン管前面にはR・G・Bの蛍光塗料が塗ってあり、電子ビームが当たると発光する仕組みになっています。

色差信号とはそれぞれの色信号から明るさを引いたもので、この3色の相関関係からG(緑)-Y(輝度信号)については、計算式で求められることから、実際に搬送される色差信号はR(赤)-Y、B(青)-Yの2色の合成ベクトル(大きさと角度の情報)のみを送信(受信)しているそうです。

テレビによる画像再生2-走査

テレビの仕組み 走査

電子銃は画面の左上から右下に走査し、テレビ画面の走査線525本(NTSC方式)を、わずか30分の1秒で表示します。画面の一番右下まで走査し終わると1枚の絵が完成し、1秒間に30枚の絵がパラパラ漫画のように映し出されます。

実際は、インターレース(飛び越し走査)といって、1行おきに映し出されている為、画面左上から右下までの走査を1秒間に60回行っていることになります。

アイディー・シー株式会社イメージ